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第27回全日本選手権大会:決勝戦(女子)

  • ■ 大会名:第27回全日本選手権大会:決勝戦(女子)
  • ■ 日程:2016年12月18日(日)
  • ■ 場所:東京都・江戸川区陸上競技場
  • 関西学院大学(白)vs 明治大学(白)

    スコア

    チーム
    前半 後半 延長
    TOTAL
    関西学院大学
    1
    3
    1
    5
    明治大学
    3
    1
    0
    4

    得点者

    関西学院大学 明治大学
    #27 今井 朱里 (1) #7 木島 朱理 (1)
    #45 成地 夏美 (1) #11 西森 あさひ (1)
    #47 松本 莉穂 (1) #25 森岡 友菜 (1)
    #75 細川 利沙 (1) #62 松本 紗来良 (1)
    #76 三浦 尚子 (1)

    個人賞

    最優秀選手賞 #45 成地 夏美 (関西学院大学)
    優秀選手賞 #41 寺西 志保美(明治大学)

    審判員

    主審 大久保 祐子
    副審 阪本 一美
    五東 幸子
    大塚 紀代子
  • 関西学院大学

  • 明治大学

【スコア】

【個人賞】

  • 最優秀選手賞 #45 成地 夏美 (関西学院大学) 優秀選手賞 #41 寺西 志保美(明治大学)

【審判】

【レビュー】

 天気も良く、過ごしやすい気温のなか、関西学院大学(以下、関学) 対 明治大学(以下、明治)の試合が始まる。両チームとも社会人のチームに勝利し、21年ぶりの大学同士の戦いとなった。明治は11月26日の全日本ラクロス大学選手権大会・決勝戦において、関学に一度敗北している。しかし、関東学生リーグ戦で一度敗北した東海大学に、関東学生リーグ戦・決勝戦でもう一度対戦すると、そこでは大差で倒しているように、一度負けたチームにもパワーアップして勝てる力を持っている。
 どちらが勝つのか分からない、ラクロスプレイヤー・観客を興奮させる、灼熱の夏から続いた熱い戦いのクライマックスが始まる。

前半
 バックスタンドが青と紫で染まり、たくさんの大きな声援のなか、ドローで試合が始まる。最初ドローのボールは関学のMF側に飛び、関学がファーストタッチするも、ボールダウンし、混戦の中ボールを獲ったのは明治#25森岡。明治の攻めが始まるが、パスキャッチミスで関学ボールへ。その後明治のフリースペース・トゥ・ゴールの侵害(フリスペ)により、関学にフリーシュートを与えてしまう。関学#76三浦のアシストパスから関学#27今井がシュート成功。関学は前半開始約1分半で先制点を決める。
 2回目のドローも明治が獲り、明治の攻撃へ。明治が何度も1対1を掛け続けるも、関学の堅いディフェンスでなかなかゴールまでいけないが、関学のフリースペース・トゥ・ゴールの侵害によりフリーシュートを獲得し、明治#木島のシュートが成功。関学に追いついた。

 3回目のドローが始まる。明治のドローマンは変わらず#7・木島で、その匠なドローコントロールにより、ボールを自ら獲る。
 明治は関学の堅いディフェンスを果敢に破ろうとするも、オフェンスチャージで関学ボールへ。関学は強気の1対1でシュートを撃つも、ゴールに入らない。明治がクリアを運びそのままシュートするも入らず、その後、明治のパスキャッチミスによるダウンボールに、すかさず関学が寄る。関学#76・三浦はクリアのボールを貰うと、関学の特徴である足の速さを見せ、爽快さを感じさせるスピードで駆け抜けシュートまでもっていく。シュートを撃つも明治のゴーリー#1・清水のセーブにより、明治ボールへ。両チームともシュートまでもっていくも入らずと、苦しい時間が続いた。そんな状況を打開したのは、明治の主将#62・松本。関学のファールにより、フリーシュートを獲得。ゴール前で何枚ものDFに囲まれながらもシュートを決める。

 4回目、ドローが始まる。明治ドローマン#7木島が自ら獲り、明治ボールに。なお、明治は前半のドロー5回の全てでドローを獲得(ドローでボールを獲る)し続けた。
 そこからしばらく明治の攻撃が続く。何度も仕掛け、シュートを撃つも関学の粘り強いディフェンスによりなかなかゴールが決まらず。関学のセーブにより、関学のクリアになるも、明治のライドやセーブにより明治はボールを獲り返す。明治#75土屋はディフェンスながらも、積極的にボールダウンに反応し、攻撃側までボールを走って運び、その後も明治は止まることなく、積極的に、関学のディフェンスを翻弄するような1対1を素早く仕掛けていく。#41・寺西を始めとし、ゴールの下や上から何人もの選手がどんどん仕掛けにいく。前半残り約5分、明治#25・森岡がゴール裏から仕掛ける。関学のファールにより、フリーシュートを獲得し、そのままシュート成功。明治は関学との点差を2点に広げる。
 前半1‐3で明治の2点リードにより終了。

後半
 まずドローを制したのは明治だ。アタック側にボールを運ぶがアウトオブバウンズにより関学ボールに。しかし、堅いライドにより再び明治ボールになる。相手のファールを誘い、明治#62・松本が得たフリーシュートを撃つも、関学ゴーリー#78・末澤がセーブし、チェイスにより明治ボール。明治は攻め続けるが、イン・ザ・クリースのファールにより関学のクリアに切り替わる。関学は足の速さを活かし、ボールをゴール裏まで運び#47・松本が1対1を仕掛けると、明治のフリースペース・トゥ・ゴールの侵害となる。関学#47・松本から#76・三浦にボールが渡り、#76・三浦が1対1を仕掛けながら#75・細川にパス。このパスを受けて、#75・細川がシュートをしっかりと決める。2-3と明治は1点差に縮める。

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 次のドローも明治が獲る。点差を広げたい明治はゴールに近づこうと1対1を仕掛けにいくが、関学の堅いディフェンスをなかなか破ることができず、明治のチャージングにより関学のクリアとなる。関学はそこから2回シュートを撃つが、明治ゴーリー#1・清水のナイスセーブにより、再び明治ボールとなる。明治は1対1を仕掛け続け、関学のフリースペース・トゥ・ゴールの侵害によりフリーシュートを得ると、#11西森のシュートが成功する。2-4となり、明治2点リードと、また点差を広げた。
 点差を広げたい明治と、点差を縮め追いつきたい関学のせめぎ合いは、さらに熱さを増していく。次のドローは、関学のトゥーアーリーのファールにより、明治ボールとなる。だが、明治がダウンボールすると、すかさず関学がそのボールを獲り、そのままスピードに乗って攻撃陣地へボールを運ぶ。1対1を仕掛け、明治のフリースペース・トゥ・ゴールの侵害ににより、関学#76・三浦のフリーシュートが決まる。これで3-4となり、明治のリードは1点と、関学が再び1点差に差を縮める。

 ここから、両チーム共に攻め続ける展開となる。両チームのゴーリーのナイスセーブが輝き、どちらも点を取れない厳しい時間帯となる。この時間帯を先に脱出したのは関学だ。後半残り5分を切った頃、関学#47・松本が1対1を仕掛け、明治のフリースペース・トゥ・ゴールの侵害となると、そのまま#47・松本がフリーシュートを決める。これで4-4の同点となる。

 後半残り4分となり、点を取り、勝ち切りたい気持ちが全面に出るプレーとなってきていた。両チーム共にパスカットや相手のファール、ダウンボールで自分のボールにしては攻め続ける。両チーム共にシュートを撃つが、ゴーリーのナイスセーブにより、なかなか点が決まらない。ここでホイッスルが鳴り、4-4の同点で後半終了となる。

延長戦サドンビクトリー
 延長戦は6分間で行うが、先制点を決めた時点で、そのチームが勝利となる。
 ドローは明治のファールにより関学が制する。関学は1対1を仕掛けるが、明治の堅いディフェンスを破ることができない。明治はダウンボールに素早く寄り、自分のボールにしようとするが、ファールを犯してしまい関学ボールになる。再び関学は1対1を仕掛け続け、関学#45成地がついに明治の堅いディフェンスを破り、シュートを決めた。試合は6-5。サドンビクトリーでゴールを決めた関学の勝利で、試合が終了した。関学は、1994年以来となる、22年振りの日本一に輝いた。

 試合の始まりから終わりまで、観客を魅了した白熱の試合となり、試合終了後、観客席のあちこちで感嘆の声があがった。人々の記憶に残るほどの歴史的名戦となっただろう。
 この試合を観戦した選手たちに、ラクロスに対する熱い姿勢、技術に対する憧れなどの刺激を与えたこの試合は、今後、日本のラクロス界が成長していく中で、「影響を与えたターニングポイントとなる試合だった」と評価されるのではないかと思える、素晴らしい試合であった。

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