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第27回全日本選手権大会:決勝戦(男子)

  • ■ 大会名:第27回全日本選手権大会:決勝戦(男子)
  • ■ 日程:2016年12月18日(日)
  • ■ 場所:東京都・江戸川区陸上競技場
  • 慶應義塾大学(白) vs FALCONS(紫)

    スコア

    チーム
    1Q
    2Q
    3Q
    4Q
    TOTAL
    慶應義塾大学
    2
    0
    3
    0
    5
    FALCONS
    3
    3
    1
    5
    12

    得点者

    慶應義塾大学 FALCONS
    #9 野上 力 (3) #44 松下 立 (4)
    #8 大坪 厚介 (1) #5 石黒 哲雄 (2)
    #51 仁熊 健太 (1) #91 本下 純 (2)
    #1 大庭 茂浩 (1)
    #7 夏目 聖矢 (1)
    #18 佐保田 裕介 (1)
    #33 小林 薫樹 (1)
  • 慶應義塾大学

  • FALCONS

【スコア】

【個人賞】

  • 最優秀選手賞 #44 松下 立(FALCONS)

  • 優秀選手賞 #9 野上 力(慶應義塾大学)

【審判】

主審 金子 剛之 副審 志水 研太郎 林 拓史 CBO 宮地 圭 ベンチマネージャー 中野 弘己

【レビュー】

12月18日、この日は少し肌寒いが、快晴で決勝にふさわしい日であった。慶應義塾大学(以下、慶應)とFALCONS(以下、ファルコンズ)との日本一をかけた一戦の幕が切って落とされた。

1Q
 慶應義塾大学応援団の声援が鳴り響く中、フェイスオフからのグラウンドボールをファルコンズ#91・本下が見事に拾い上げ、そのままランニングシュートを決め、ファルコンズがあっさりと先制した。0-1。少し硬さが見られた慶應は、#2・ゴーリー杉本のナイスセーブから流れを掴みかけるが、負けじとファルコンズのゴーリー#14・鈴木もナイスセーブを見せ、ファルコンズがボールを奪い返すと、ゴール裏からのパスに#7・夏目がカットインして合わせ追加点をあげた。0-2。ファルコンズが流れを完全に掴んだと思われたが、慶應のエース#9・野上がそれを許さなかった。#51・仁熊によるゴール裏からのパスにうまく合わせゴール左下にシュートを突き刺した。1-2。
 追いつきたい慶應はエース#9・野上にボールを集め、中への切込みからの豪快なダイビングシュートで、ゴーリーのプッシュを受けながらもゴールにねじこみ同点に追いついた。2-2。1Q終了間際、ファルコンズ#44・松下がリストレイニングライン手前のトップから、豪快なミドルシュートを決め勝ち越した。2-3。慶應は掴みかけた流れをファルコンズに断ち切られ、1Qを終了した。

2Q
 勢いに乗りたいファルコンズだが、ボールポゼッションはするものの慶應のしぶといディフェンスに攻めあぐねると、ファルコンズに対してストーリングの警告が出された。だがしかし、そんな淀んだ空気を断ち切ったのは#44・松下。再びリストレイニングライン手前からミドルシュートを決め、大きな追加点を挙げた。2-4。このゴールで流れを掴んだファルコンズは攻撃の手を加速させる。完璧に乗りに乗った#44・松下は慶應ディフェンスをあざ笑うかのように全く同じ形でミドルシュートを放ち慶應ゴールに突き刺した。2-5。
 チームタイムアウト明けで、慶應ボールから試合が再開されたが、慶應は#51・仁熊のスラッシングによりファルコンズが1分間のエキストラマンオフェンスの好機を得た。ゴール右上から#99・小原の正確なパスに#5・石黒が合わせ、確実にチャンスをものにし、ファルコンズが4点リードで前半を折り返した。2-6。

 ハーフタイム、慶應の応援団は逆転を信じ大きなエールを送り選手たちを鼓舞した。

3Q
 フェイスオフを獲ったのはファルコンズであったが、パスが乱れ慶應のオフェンスとなった。
 流れを取り戻したい慶應だが、#9・野上が右サイドからシュートを撃つも枠外。慶應はパスを回してファルコンズディフェンスの隙を突こうとするが、ファルコンズのディフェンスは固く、崩れない。その中、ファルコンズの#21・岡本が慶應の虚を突いたパスカットで一気にカウンターを仕掛ける。しかし、これ以上点を取られるわけにはいかない慶應は、組織されたディフェンスでファルコンズのカウンターを許さなかった。どちらもスコアが動かない展開が続く。
 3Q開始4分、グラウンドボールになり、それをすくいあげたのが慶應#9・野上。しかし、ボールを拾った瞬間、すかさずファルコンズが3人で野上を囲い込みボールを落とそうとする。だがそれでも慶應のエースは素晴らしいスティックさばきを見せてボールをキープしてみせたと思ったが、審判の笛が鳴り、ファルコンズディフェンスのスティックを手で抑え込んだとみなされ、ホールディングの反則となった。慶應の応援席からは落胆の声があがった。

 試合が拮抗している中、慶應はMFの1対1で徐々にディフェンスを崩し、#15・杉山からのパスにゴール右の空いたスペースに飛び込んだ#9・野上が合わせ、ゴーリーの股下にシュートを叩き込んだ。3-6。
 勢いに乗りたい慶應だが、続くフェイスオフに勝てずファルコンズのボール。だがファルコンズは痛恨のパスミスで慶應ボールに。#9・野上がゴール前でボールを貰い、ディフェンスに囲まれながらも強引にシュートを撃つが、惜しくも枠外。それに続いて#51・仁熊が左サイドから撃つが、これも枠外。攻め込んではいるが、あと一歩のところでゴールが決まらない慶應。一方、ファルコンズのオフェンスもうまく攻撃が決まらずストーリングの警告が出されるが、その瞬間、ファルコンズ#91・本下がゴール右上から鮮やかにランニングシュートを決め、厭な流れを断ち切った。3-7。
 慶應はすかさずチームタイムアウトを取った。点差がまた離れ、王者ファルコンズのゲームになると思いきや、慶應の#51・仁熊がゴール裏から闘志あふれるダイビングシュートでゴールにねじ込み、ファルコンズに主導権を渡さなかった。4-7。
 しかし3Q残り4分、慶應は#63・青木のイリーガルボディチェックにより、ファルコンズに2分間のエキストラマンオフェンスのチャンスを与えてしまう。このプレイによりファルコンズの#4・畠山が負傷してしまい、担架でコートの外に運び出された。慶應は一人少なくなりファルコンズに攻め込まれる展開が予想されたが、#17・河村が隙を突き、見事なパスカットでそのまま駆け上がり、一気にカウンターへ。#8・大坪にボールが渡ると、勢いに乗ったままランニングシュートを放ち、勢いよくゴールに突き刺さった。5-7。慶應は再び2点差まで詰め寄り、最高の形で第3Qを終えた。

4Q
 慶應の応援席の声援が最高潮に達し、勢いに乗る慶應は、フェイスオフを制すとそのままブレイクで攻める。シュートを撃ち、ついに1点差になるかと思いきやファルコンズのゴーリー#14・鈴木がファインセーブ。グラウンドボール争いになり慶應#51・仁熊のイリーガルボディチェックにより、ファルコンズはエキストラマンオフェンスのチャンスを得ると、#44・松下が再びリストレイニングライン手前から1Q・2Qと同じ形でミドルシュートを放つ。4度目の同じ位置からのシュートと分かっていても、その目にも止まらない速さのシュートは、無残にも追い上げる慶應のゴールネットを豪快に揺らした。5-8。ファルコンズは、この試合4得点目の#44・松下の活躍で、慶應ムードの流れを冷静に断ち切った。
 この後のフェイスオフはファルコンズが制し、試合の主導権はファルコンズへ。立て続けにファルコンズが攻め込むが間一髪のところで耐えしのぐ慶應。4Q11分、ファルコンズにストーリングの警告が出され、慶應はボールを奪うチャンスとなるが、ファルコンズ#1・大庭がゴール裏から1対1を仕掛け、見事に慶應のロングスティックを抜き去ってゴールの右に回り込み、シュートを決めた。5-9。

 残り時間9分で4点差をつけられてしまった慶應は2人がかりでボールを獲りに行くが、そう簡単には奪われないファルコンズ。それでも、なんとか1点を取りたい慶應は、#9・野上にボールを託し、中央からミドルシュートを放つが、ファルコンズの守護神#14・鈴木が難なくセーブ。ファルコンズは#17・加藤が一人でボールを持ってカウンターを仕掛け、ゴール右横の空いたスペースにパスを出すと、そのパスに反応した#38・小林が貰い、ダイビングジャンプをしながらアクロバティックにゴールを決めてみせた。5-10。それに続き、#5・石黒が中央からのミドルシュートで追加点。5-11。
 まず1点返したい慶應は、#51・仁熊がゴール裏から強引にシュートまで持っていくがゴールには届かず。今度はその#51・仁熊から、ゴール前でフリーで待ち構えていた#10・山田にパスが出るが痛恨のキャッチミス。慶應は絶好のチャンスを逃してしまった。
 終了間際、慶應はゴーリーも加えて全員でボールを奪いに行くが、ファルコンズは華麗なパスワークでそれをかわし、最後は#18・佐保田が無人のゴールにダメ押しの1点を決め試合終了。

 最終スコアは5-12。ファルコンズは前人未到の9連覇を達成し、2016年も日本一の座を守り切った。慶應は王者ファルコンズに3Qで、2点差にまで詰め寄るという、王者に引けを取らない戦いを見せてくれた。ここ数年で、ファルコンズをここまで苦しめたのはこのチームだけではないのか。こうして第27回ラクロス全日本選手権大会男子決勝戦の幕が閉じた。

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