2021年2月15日(月)

ラクロスコミュニティのみなさまへ(2021年2月15日)

日本ラクロス協会

全国

ラクロスコミュニティの皆様へ

 

2020年は、他の多くのスポーツが活動を制限される中、みなさんの尽力により全ての地区で特別大会を開催することができました。また、クラウドファンディングや新歓のためのSNS広告の効果もあり、例年の約半分の2,000人の新入生がラクロスを選んでくれました。

 

依然として新型コロナウイルスの影響は強く、今後の活動も様々に制限されることが予想されます。2021年は、日本のラクロスの未来にとって本当に重要な1年となるでしょう。「今が正念場です。」というフレーズはすでに使い古されていますが、それでもあえて言います。今年が、日本ラクロスの正念場です。

 

一人でも多くの新入生に、ラクロスを選んでもらうこと。
一人でも多くの卒業生に、ラクロスを続けてもらうこと。
ラクロスを通じて、より多くの感動を社会に届けること。

 

そのためにJLAは考えられる最善の選択と努力を行っていきますが、みなさんのご協力なしには到底この危機は乗り越えられないと考えています。日本のラクロスコミュニティの総力を挙げて、この正念場に立ち向かっていきましょう。

 

今日は、日本のラクロスを統括する団体であるJLAが、今どのように考えているのか、今後何をしようとしているのかをお伝えしたいと思います。

 

 

Lacrosse as a life.

昨年の6月30日に、私たちはこのようなメッセージを出しました。

 

ラクロスだけではなく全てのスポーツは、
たとえ無くなっても私たちの命を奪いません。
しかし、このことはラクロスが社会に必要ない、
ということを意味しません。

 

私たちが生活をする上で、
QOL(Quality Of Life)=生活の質は
非常に大切なものです。
そして、私たちのQOLは、
確実にラクロスを通じて向上してきました。

 

このラクロスというスポーツに情熱を傾けることを通じて、
私たちはたくさんのものを得て成長し、
社会に還元してきたはずです。

 

挑戦する機会の重要性、
多様性に対する理解と学び、
目に見えないものを信じる力、
他者と共感することの素晴らしさ、
自分自身と深く向き合う時間、
目標に向かって努力することの尊さ。

 

これらの全ては間違いなく、
私たちが生きていく上で
非常に大きな意味を持っています。

 

この思いは、2020年という特別な年を経てさらに強くなりました。

私たちが、この状況の中でも希望を持ちながら活力ある日々を送れたのは、まぎれもなくラクロスがあったからです。ラクロスは、新型コロナウイルスという困難を乗り越える力を私たちに与えてくれました。

 

ラクロスは単なる競技ではありません。
ラクロスは言葉にするまでもなく、私たちの人生そのものであり、私たちが生きる目的の一つです。そして、ラクロスはこの社会に価値を提供し、さらには世界をより良い方向に導く力を持っていると信じています。

 

ラクロスをするのに、理由はいらない。

 

これが、改めてお伝えする、私たちの原点です。

 

 

事実に基づいた合理的な判断と、リスクの最小化

この厳しい状況の中でラクロスを守っていくために、私たちは、世論に過度な影響を受けることなく、過去の事例や事実に基づいた合理的な判断を大切にしていきたいと考えています。

 

また私たちは、「専門家ではないから新型コロナウイルスのリスクに対する具体的な見解は持たない」というスタンスはとりません。競技団体として「リスクをどのように捉えていて、今後どう進んでいくのか」の意思決定を継続的に行い、その時点で最善と思われる選択をしていきます。

 

新型コロナウイルスの脅威は続いていますが、2020年に比べると関連する知見もアップデートされ、リスクの高い活動と、リスクの低い活動が整理されてきました。その中で、なるべくリスクを低くコントロールしながら、できる限り活動範囲を広げていきたいと考えています。

 

例えば、屋外競技であるラクロスは、「プレイ中の感染」のリスクは相対的に低いと考えられます。そのため、感染リスクの高い移動や、ミーティング・食事などの屋内での活動をどのように制限するかが重要になります。そうした「要所」を抑えていくことで、昨年は実施できなかったことを、リスク低く実施する方法を検討していきます。

 

また昨年は、早い段階で、全国大会と入れ替え戦は行わない、という意思決定を行いました。「どんな形でも、各地区で大会を開催すること」を何よりも優先したからです。今年は、フレッシュマンズキャンプ、有観客試合、全国大会や新人戦の開催なども含め、全て「実行できる可能性がある」という前提で考えていきます。

 

もちろん、感染動向、緊急事態宣言を含む政府や自治体の方針、ワクチンの供給時期、変異種のリスクなど読めない変数がいくつもあり、今後の状況がどうなっていくのかはわかりません。しかし、「状況が判明してから考える」のではなく、「状況に応じて何をやるのか」「やれるとしたらどうやるのか」という視点で準備をしていきます。結果的に、準備したものが使われなかったということもあると思いますが、この状況で最善な選択をするためには必要なコストだと考えています。

 

また、昨年よりも活動範囲を広げることを検討していく上で、皆さんにお伝えしておきたいことがあります。

 

それは、活動範囲を広げることには必ずリスクが伴うということと、そのリスクを精査し計画を立て実行するのは、ラクロスコミュニティの中の人だということです。

 

ご存知の通り、私たちの活動はそのほとんどが、会員のボランティアスタッフに支えられています。活動範囲を広げたことで万が一感染者が発生してしまったとしても、その責任はボランティアスタッフ個人が負うべきものではありません。一義的には日本ラクロス協会がその責任を負い、具体的な対応や対策はラクロスコミュニティ全体で担う、というのがあるべき形だと考えています。

 

 

ラクロスコミュニティ全体のリテラシーアップを

活動範囲を広げながらも感染を防ぐことができるかどうかは、JLAや各チームで取り組んできたこれまでの対策に加えて、皆さん一人ひとりがどれだけ普段から気を付けて行動できるかにかかってきます。

 

屋外活動のリスクが低くて屋内活動のリスクは高いということは、ラクロスをしている時間ではなく、むしろラクロス以外の時間の方により多くのリスクがあり、気を配る必要があるということを意味します。そして、ラクロス以外の時間に対して、JLAが主催行事等で行える対策は限定的です。

 

このことから、私たちはラクロスコミュニティに属する全ての人が、新型コロナウイルスがどのようなものかを深く理解し、自ら考え、適切な行動を日常から徹底できることが必要だと考えています。

 

3月以降に、順次JLA主導で、皆様の新型コロナウイルスに対するリテラシーをさらに向上させ、より適切な対応を取れるようにするためのプログラムを提供していきます。

 

最後に一つ、とても大切なことをお話したいと思います。

 

それは、ラクロスコミュニティもまた、社会の一員であるということです。

 

私たちが「私たち」という言葉を使いコロナ禍で活動を行うとき、その言葉には、ラクロスコミュニティだけではなく、私たちの家族や仲間、同僚、そして社会全体が含まれていて欲しいと願います。

 

ラクロスコミュニティの中の人を守るためだけではなく、社会全体を守るために行動すること。

 

そうすることが、結果的に私たちが愛するラクロスだけではなく、全てのスポーツが社会に愛され、受け入れられることにつながっていくと信じています。

 

ラクロスが、全てのスポーツの規範となる。
そんな未来が来ることを願っています。

 

この新型コロナウイルスによって、日本のラクロスはたくさんのものを失いました。しかし、新型コロナウイルスがあったからこそ気づけたこと、実現できたことがあるのも、また事実です。この危機を乗り越えた先に、日本のラクロスの新しい形がきっとあります。

 

その未来に向かって、力を合わせて進んでいきましょう。

 

 

Bravely Forward
蛮勇ではなく真の勇気と知性を携えて、
私たちは進もう。

 

一般社団法人日本ラクロス協会 佐々木裕介(理事長) 寺本香(事務局長)