2026年1月28日(水)

【医科学委員会】アンチ・ドーピングコラム第4回

医科学委員会

中四国リーグ決勝でのアウトリーチ活動

2025年10月25日(土)、広島広域公園第二球技場にて第32回中四国学生ラクロスリーグ戦の決勝が開催されました。男子ファイナルは、岡山大学が6-3で徳島大学を破り優勝、女子ファイナルは、広島大学が13-5で岡山大学を破り優勝しました。会場には中四国リーグを共に戦った学生アスリート、指導者を含むサポートスタッフ、観客等、約1,000名が参集し活気ある雰囲気の中で、医科学委員会アンチ・ドーピング部会は、中四国地区として初めて、アンチ・ドーピングに関するアウトリーチ活動(競技大会における教育推進活動)を実施しました。具体的には、日本国内におけるアンチ・ドーピング活動を推進する機関である日本アンチ・ドーピング機構(JADA)から貸し出された「FAIR PRIDE」の横断幕等を掲出したブースを設置し、JADAのyoutubeからアンチ・ドーピング関連のアニメーションを流しながら、大会参加者にアンチ・ドーピングに関するクイズ「アンチ・ドーピングって何だろう?クリーンスポーツクイズ」に回答していただきました。

クリーンスポーツとは

この「アンチ・ドーピングって何だろう?クリーンスポーツクイズ」は、スタート編とステップアップ編に分かれています。クイズのタイトルにもある「クリーンスポーツ」とは、”doping-free”sport(ドーピングのないスポーツ)だけのことを表すのではなく、スポーツの、そして個々人のインテグリティ(尊厳・価値観・倫理観)が守られ、お互いに良い影響を与え合っている状態のことをいいます。日本ラクロス協会が制定した「アンチ・ドーピング規程」においても、「アンチ・ドーピング活動を推進、啓蒙することで、ラクロス・インテグリティを浸透させ、ラクロスの価値に関する理解を再確認することに繋げる。更には、私たちが愛するラクロスを含めた全てのスポーツが社会に愛され受け入れられることに繋げていく」ことが目指されています。

クイズを通じた教育活動

当該クイズのスタート編は、「クリーンスポーツ」の導入としてアンチ・ドーピングの基本的なルールについて理解を深めていただくために、またステップアップ編では、競技レベルが上がるごとに必要とされるアンチ・ドーピングに関する知識・行動に係るクイズに挑戦していただきました。クイズには、スタート編60名、ステップアップ編60名の計120名にご回答いただく等、ご来場の方々にアンチ・ドーピングについての情報や、2028年に行われるロサンゼルスオリンピックの追加種目のひとつに加えられたラクロスを取り巻くアンチ・ドーピングへの取り組みや現状に関する情報に触れていただくきっかけとなったのではないかと考えています。

学生アスリートへの教育の重要性

アンチ・ドーピングコラム第1回(2024年9月27日)においても示されているように、ラクロスは大学生から始める人がほとんどといえますが、ある日突然、日本代表や代表候補になることもある非常に夢のあるスポーツです。それゆえに、学生アスリートを含む私たちラクロスプレーヤーは、常日頃からアンチ・ドーピングに関する正しい理解に基づく行動が求められています。

しかし、日本の大学スポーツを大学横断的かつ競技横断的に統括する組織である一般社団法人大学スポーツ協会(UNIVAS)が実施した「スポーツ活動をしている大学生1000名が回答:みんなが考えるクリーンスポーツとは?」調査報告書によれば、スポーツ活動に取り組んでいる大学生のうち、これまでアンチ・ドーピングに関する教育を受講した経験があると答えている人は過半数に満たない現状(42.1%)にあります。また、当該報告書では、教育経験がある・ないによって、アンチ・ドーピングについての主観的な知識は異なり、教育経験がある人の方が、知識レベルで良好な傾向があるため、アンチ・ドーピング教育が重要であることを指摘しています。次回のアンチ・ドーピングに関するアウトリーチ活動は、2026年2月1日に国立競技場で開催される第35回ラクロス全日本選手権大会A1にて実施する予定です。興味のある方は、アンチ・ドーピングに関する情報や現状を知る第一歩としてぜひブースにお立ち寄りください。

全ての関係者で取り組むアンチ・ドーピング

なお、今回の中四国会場では、学生アスリートだけでなく、指導者、OBOGや保護者の方々もクイズに挑戦してくださいました。このことは、アスリート本人にとどまらず、指導者や保護者をも含むラクロス関係者がトーピングについて学び、ドーピングから自分自身を、指導している選手を、自分の子どもをどう守っていくかを考えるうえで非常に重要なことです。「Enhanced Games(エンハンスト・ゲームズ)」(2026年5月、米ラスベガス)というドーピングを容認する新たな国際競技大会が開催されるというニュースが議論を呼んでいますが、「私たちが愛するラクロスを含めた全てのスポーツが社会に愛され受け入れられる」ために、私たちは改めて、なぜドーピングが許されない行為なのかを再考する必要があるといえます。

<出典>
一般社団法人大学スポーツ協会(2025)大学生のためのドーピング防止教育教材 クリーンスポーツの実現を目指して.