熱中症対策について

熱中症は防げる! 熱中症ゼロを目指そう!!

熱中症とは?

熱中症とは熱失神、運動誘発性筋痙攣、熱疲労、労作性熱射病は総称であり、発生メカニズムや症状はそれぞれ異なります。

  • Ⅰ度 めまい・失神・筋肉痛・筋肉の硬直・大量の発汗
  • Ⅱ度 頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感
  • Ⅲ度 意識障害・痙攣・手足の運動障害・高体温

最悪の場合は生命に関わってしまいます!!

熱失神

顔面蒼白、脱水、めまい・たちくらみなどの症状を主に呈します。脱水や抹消血管の拡張によって血圧が下がることによって引き起こされる疾患であり、フィットネスが乏しい人や、暑さに慣れない時期に頻発する傾向があります。

運動誘発性筋痙攣

急性の筋肉痛のことをさし、多くの場合目に見える筋の拘縮を伴います。運動誘発性筋痙攣は、塩分不足などの電解質バランスの乱れや脱水状態、神経筋コントロールの異常によって発生すると考えられています。

熱疲労

暑熱環境での運動が継続できない状態を指します。強い倦怠感、口の渇き、めまい、頭痛、苛立ちなどを伴うことが一般的であり、競技続行に支障のでる熱中症のほとんどはこの状態です。

労作性熱射病

熱中症の中でも最も重症度が高く、命に危険を及ぼす疾患です。症状は熱疲労と似ている部分もありますが、特徴的な所見として意識を失うだけでなく、ヒステリー状態に陥ったり、攻撃的な言動をとったりすることが報告されています。普段ならわかるような練習メニュー内容に対する理解が乏しかったり、同じ質問を何度も繰り返したりするなどの見当識障害も労作性熱射病の症状の可能性があるため、類似した症状をもつ脳振盪との違いは状況から判断することが求められます(ポイント:直前に身体への衝撃があったか、暑熱ストレスの高い環境で運動をしているか、など)。

熱中症が発生しやすい環境とは?

特に、気温が30度以下でも湿度が高いと汗をかいても熱を発散できなくなり、熱中症にかかってしまう恐れがあるので注意が必要です。

  • 気温が高い
  • 湿度が高い
  • 風がない

熱中症にかからないために

試験期間後など、しばらく運動をしていなかった後は暑さに慣れていないこともあり、熱中症にかかりやすくなります。最低でも30分に1回は休憩し、こまめに水分をとりましょう。また、少しでも熱中症の症状が伺われたらプレイをやめる、やめさせる判断をしましょう!

  • よく寝る
  • バランスの良い食事を摂る
  • 十分に休養し、次の練習に疲れを残さない
  • 通気性の良い服装
  • こまめに水分補給
  • 暑さに慣れる
  • 連続試合をしない、予定にない練習(罰走など)を行わない
  • こまめにヘルメットをはずす

重症度が高いと思ったら

熱中症の中で最も重症度の高い労作性熱射病を疑った場合には、救急車を要請するだけでなく、積極的な全身冷却が必要です。アイスバスなどの、広い体表面を効率よく冷たい水で冷やすことができる手法が望ましく、搬送前にまずは身体を冷却する必要があります。普段活動している現場にこのような応急手当を実践する準備(人・物・体制)が整っているか確認しましょう。

参考動画:
日本スポーツ協会ch. 5 身体冷却法 -応急処置編 https://youtu.be/g2FZVArhb48

チームとして気を付けること

熱中症を予防するためには、選手・スタッフひとりひとりの心がけはもちろんですが、チームとして熱中症を予防するための「環境作り」も重要です。

  • 練習中休憩する機会を増やす
  • 日陰があるか確認する
  • 水飲み場がどこにあるかを確認する
  • 涼しい時間帯に練習する
  • 氷を準備する
  • 熱中症予防情報サイトを確認する
    http://www.wbgt.env.go.jp/

参考文献:
1. Casa DJ, DeMartini JK, Bergeron MF, et al. National Athletic Trainers’ Association position statement: exertional heat illnesses. Journal of Athletic Training. 2015;50(9):986-1000. doi:10.4085/1062-6050-50.9.07
2. 細川由梨. 労作性熱中症の応急処置としての冷却方法. 臨床スポーツ医学. 37(11):1272-1277.