第2回:絶やすな「勝利への執念」
                  〜VALENTIA・丸山伸也〜

 いよいよ、世界選手権の舞台に立つU-19男子日本代表。
 アデレードからの吉報が待ち遠しいが、チームの育成過程で彼らU-19に「胸を貸した」ラクロッサーの眼には今回の「U-19」はどう映ったのだろうか?
 昨年自らもフル代表として世界選手権に参戦した経験を持つVALENTIAのAT、 丸山伸也に「U-19」について聞いてみた。
VALENTIA・丸山。
プレミアムリーグ決勝戦vs U-19日本代表チーム、プレミアムリーグ決勝戦にて


Q1.今回のU-19が編成されて以来、丸山さんは数回対戦されているわけですが、 実際に対戦されてどんな印象を持たれましたか?

丸山:VALENTIAとしては、U-19と都合3回(*1)対戦しているのですが、最初の2試合位はちぐはぐな点も見られたりしましたが、だんだんルーズボールに対する反応や、攻撃についても良くなってきたと感じました。チームが編成されてから短い時間にもかかわらず、よく成長したなと思います。

Q2.U-19が勝利を得るために重要なポイントがあるとしたら?

丸山:技術や経験も確かに大事かもしれませんが、一番大切なのは、チームで 一丸となってボールに向かっていくということだと思います。そのためには 攻撃陣とディフェンス陣がお互いを理解し、自分たちの仲間がどういうプレーができるのか?を良く知ることではないでしょうか。今回のチームは、キ ャプテンの黒澤君を中心によくまとまっていると思いますし、5月に行われた プレミアリーグでは「勝利への執念」という点では素晴らしいものを発揮していたと思います。だから我がVALENTIAもやられてしまったわけですが(笑) (*2)

Q3.これから大舞台に臨むU-19戦士たちになにか一言お願いします。

丸山:環境も変わっていろいろ大変かもしれませんが、気持ちの面で、最後の 最後まで「闘う気持ち」を忘れないで頑張って欲しいと思います。ゆくゆくは僕とフル代表の座を争うような素晴らしい選手の揃っている今回のU-19ですから、きっとやってくれると信じています。

 インタビュー中、「若くていいプレーヤーがどんどん下から育ってきていますからねぇ。(フル代表になるにも)ライバルが沢山いるわけだから僕らもうかうかしてられませんよ!」と笑顔で語ってくれた丸山。しかし彼の言葉 にはお世辞はなかった、と私も感じている。プレミアリーグから1カ月半、 グランドを駆けめぐるU-19の姿をファインダー越しに追い続けて強く感じた のは「闘うこと、そして勝つことへの執念」であった。

 6/20、国際親善試合終了後の挨拶で、キャプテンのAT黒澤仁晴はつめかけた観客を前に、力強くこう語っている。
「ラクロス暦や経験は、他国のプレーヤーにくらべると短いので、それだけでは勝てないが、自分は自分の19年間の人生全てをぶつけることにより勝ってみせる」と。
 以前ヘッドコーチの加藤武(*3)が語ってくれた「(プレイヤーとしての)キ ャリアがないのは当たり前。むしろそのことを逆に武器にしてほしい」というメッセージを、U-19は「闘争心」というひとつの武器に束ねて見事に昇華したのだと私は確信した。

 アデレードの闘いが幕を明けるまで、あとわずか。
 今世紀最後のU-19世界選手権での彼らの健闘を祈ずにはいられない。

(了)

(*1)VALENTIAとU-19が対戦したのは3月14日、5月1日の練習試合と、5月15日 のプレミアリーグ決勝。練習試合はいずれも大差でVALENTIAの勝利に終わっ たが、5月15日のプレミアリーグでU-19は積極果敢な攻撃でVALENTIAを粉砕、 4-4のタイスコアに持ち込み優勝を勝ち取った。

(*2)プレミアリーグ決勝戦のこと。

(*3)詳しくは、本連載第一回「再び、世界の舞台へ」をごらんください

(Text/Photo by Takafumi Kojoh)

 

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