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女子決勝戦・レポート2(後半戦)

日時:1998年12月20日(日)11:00 Draw
場所:東京・江戸川区陸上競技場
観客動員数:9,560人

試合内容:
  WISTERIA(東日本クラブチームリーグ1位、6年連続6回出場)
     vs
  神戸ラクロスクラブ(西日本クラブチームリーグ1位、6年連続6回出場)

ハーフタイム・WISTERIAハーフタイム・WISTERIA。指示を出すキャプテン栗原。
ハーフタイム・神戸ラクロス。ハーフタイム・神戸ラクロス
女子審判団女子審判団

icon2.gif (355 バイト)ゲームレポート

 決勝戦は因縁の対決ともいうべき、東西社会人クラブチームの対決となった。学生時代からお互いを知り尽くしているメンバー同士である。どのような試合内容になるのか期待されたカードであった。

  ゲーム開始早々、神戸が長久恵を中心にリズムをつくり1点目を挙げた。ウィスタリアは中盤等でのミスが多く相手陣にボールを運べないままであった。そんな中、うまく中盤からの流れを作った神戸:長が2点目を挙げこのままのペースで前半は終了かと思わせた。

 しかし、エンジンのかかるのが遅いウィスタリアはハーフ後半になってからゴール前での神戸のファウルを誘い、高田と飯塚がフリーショットで2点を挙げ、同点での折り返しとなった。

  後半は緊張した試合運びとなった。派手なボール運びや攻守はなかったが、ミスをした方が負けると言ったような緊迫した展開であった。神戸はゲームメーカーである長が押さえられて、パス回しが前半のようにはスムーズにいかない。対して、ウィスタリアもこれまでの全日における対戦の中で、一番、堅くやりにくいディフェンスに手こずっていた。お互いのチームがゴール前でシュート体勢に持ち込ませないディフェンスで、相手のミスを待つしかないような状況であった。

 そのような中、ウィスタリアの細田が均衡を破るべくゴール裏から中ば強引にシュートを決める。初めて先行されてしまった神戸は、ウィスタリア:栗原に押さえられ、陰を潜めていた加藤が初めて得点を上げ再度、同点となる。この時点で時間は残り少なっていたが、両者とも引かず、お互いが1点づつ得点をあげ最後は同点で終わりとなった。

 延長戦では先に得点した方が優勝となる。当然、ボールを死守し得点しようと攻めまくった。しかし、疲れもあったのかなかなか得点があがらず後半にまでもつれ込んだ。最後はウィスタリアの細田がゴール前の混雑の中から5点目を奪取し決着をつけた。

  総括として、ウィスタリアの得点は5点中3点がフリーショットからのシュートであった。ゴール前でのファウルをウィスタリアのアタックはうまく誘い、フリーショットに持ち込んだと言うことである。対する神戸はこのゴール前の対処が万全でなかったということであろう。また、ウィスタリアはミスの目立った中盤のつなぎが後半では手直しされ、ミッドフィールドでの川辺らの動きが攻守の連携をとっていた。対する神戸はポイントゲッターである加藤、山形が陰を潜めゲームメーカーが長一人になっていた。後半に至ってはその長が押さえられなかなか得点することができなかった。神戸はディフェンスに関してはほとんどウィスタリアを押さえたと言ってもよいだろう。しかしそのディフェンス力を得点に結びつけられることがなかったのが敗因ではないだろうか?しかし、またウィスタリアの優勝も確実なものではなかった。準決勝もまたウィスタリアは「1点差」で勝っている。今期の勝敗をみても「1点差」での勝負が多い。混戦した状況の中でも、経験による技術・戦術でなんとか勝っている、という状況ではなかろうか。

  ここ数年、全日本選手権では社会人が優位にたっている。これは「経験に頼ったゲーム運び」が出来ると言うことが大きな原因だと考えられる。今年はその傾向が顕著に現れ、また、これは上述したウィスタリアの勝敗内容からも読みとれる。

  では、学生は(現状の全日本選手権のシステムにおいて)全日本選手権の決勝に進出できないのであろうか?そうではあるまい。学生チームが社会人チームに勝つ芽がないわけではない。実際に、本大会でも準決勝でのウィスタリア対東女体、1回戦;神戸ラクロスクラブ対日女体、準決勝、神戸ラクロスクラブ対武庫川女子大学戦いずれも1点差で社会人が勝利を収めているのである。例えば、神戸ラクロスの日女体戦では後半神戸が追い上げられ、延長戦で神戸が勝利しているのである。学生が社会人チームに勝利するまでには今一歩のところまできている証拠なのではないだろうか?

  学生はおよそ社会人よりも体力が勝っている、と言うのが通説であるが、そのが学生が社会人に勝つためにはなにが必要であるかを考えねばなるまい。少々安易ではあるが、社会人=経験(技術・戦術);学生=体力と考えた場合、学生に必要なのは技術・戦術という事になろう。言い換えれば、学生の現時点での技術・戦術では社会人の技術・戦術には劣ってしまうということである。また、社会人の技術・戦術は体力面でのマイナスを補うためのものであると考えれば、学生の長所である体力を生かすための技術・戦術というものも考えられるだろう。

いずれにせよ、全日本選手権参加連盟その他での大多数を占めるのは学生チームである。また、全日で見応えのある、おもしろいゲームをみるためにも学生チームの決勝進出を望むところである。

 

WISTERIA・横山のシュート&神戸ラクロス・中山のセーブWISTERIA・横山のシュートシーン
WISTERIA・山本のフリーショットWISTERIAシュートシーン激しい攻守攻防

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report by 日本ラクロス協会強化部・高須あき
photo by JLA Webmasters・momo


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