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第15回ラクロス全日本選手権大会

第15回ラクロス全日本選手権 女子決勝戦

MISTRAL(クラブ選手権1位) vs WISTERIA(クラブ選手権2位)



日程 2004年12月19日
会場 江戸川区陸上競技場
開始時間 11:00





−■試合結果−
 
チーム 前半 後半 TOTAL
MISTRAL
WISTERIA





−■得点者−
MISTRAL WISTERIA
#6 MF 村上 好美(2) #73 AT 大井 香織(3)
#17 AT 長岡 良江(1) #39 MF 小林 絹枝(2) 
#12 AT 上井 華奈(1) #9 MF 川辺 美穂子(2)
 #18 MF 上林 理沙(1) #1 AT 岩瀬 多三恵(1)
#19 AT 大河内 麻美(1)     
 #41 AT 鈴木 直子(1)    








−■ゲームレポート−


2004年12月19日、絶好の試合日和。肌寒さは感じるものの、冬だというのに日差しが強い。
そんな中、東京都の江戸川区陸上競技場において午前11時、ドローがあがった。
第15回ラクロス全日本選手権決勝戦、女子ラクロスの日本一をかけた試合が火ぶたを切って落とされた。


 因縁の対決だった。白色のユニフォ−ム、MISTRALは
 今年でちょうど創部10年目。
 紫のユニフォーム、WISTERIAは創部9年目になるクラブ
 チーム同士の一戦。

 MISTRALは何度も全日本選手権のステージに立っては
 いるが、優勝の経験はない。
 一方WISTERIAは去年、プレイオフで敗れ、全日本選手
 権に出場することすらできず、全日本選手権8連覇の夢
 が絶たれた。




去年は、7年間も日本一を守り続けた王者の、頂点からの転落。その悔しさは相当なものだっただろう。
そこからどう這い上がってきたのか。

両チームは、何度も試合を繰り返した者同士。お互いに戦術も知り尽くし、やる試合といえば、すべて僅差
のものばかり。クラブ選手権でも僅差でMISTRALに軍配が上がったが、実力は互角。

今日もどちらが勝つのか全く想像がつかない。



試合開始早々に、まずボールを持ったのは、MISTRAL。
一気にゴール裏まで運び、先制点を狙ったが得点ならず。試合が動いたのは試合開始後2分40秒。
先制点を決めたのは対するWISTERIAだった。
MISTRALのフリースペーストゥーゴールの侵害(以下、フリスペ)によりフリーシュート。それが外れ、
WISTERIAがシュートフォローでチェイスをものにし、#73 AT 大井香織選手が第一点目を決めた。
これがWISTERIAの怒濤の攻撃の足がかりとなる。





試合開始7分43秒、#39 MF 小林絹恵選手がトップから、9分21秒に、#9 MF 川辺美穂子選手が
体勢を崩しながらも3点目、そしてその30秒後、#39 小林選手がフリーになってからゴーリーとの1対1
の勝負で確実にシュートを決めた。自身、本日2得点目となる活躍ぶりである。

WISTERIAは4対0とMISTRALを引き離し、流れは完全にWISTERIAにあるかのように見えた。
しかし試合開始10分までの4得点を最後に、前半、WISTERIAがゴールのネットを揺らすことはなかった。


 
 ここからMISTRALの反撃が始まる。
 ここまではWISTERIAのボール保持時間が圧倒的に長かっ
 たのが目に見えてMISTRALが流れを引き寄せた。

 MISTRALの攻撃の沈黙を破ったのは、#6 MF 村上好美
 選手。試合が開始されてから12分30秒。
 待ちわびていた点がやっと決まり、MISTRALサイドのベンチ
 が沸いた。





しかしここからしばらく、両チーム共に、点の入らない時間が続く。

WISTERIA小林選手がシュートを撃つも、MISTRALゴーリー #00の百合本綾選手がナイスセーブで
これを阻む。

この直後、MISTRALはゴール前の選手にロングパスでつなごうとしたが、WISTERIAの選手のファールに
よってこのチャンスを逃した。
この間、シュートが撃たれなかったわけではない。ゴーリーの見せ場がたくさんあった。
繰り返されるターンオーバーの中、フィールドを駆ける選手にとっては一番辛い時間だったかもしれない。
両者一歩も引かない中、前半残り4分になったところでMISTRALの#19 AT 大河内麻美選手がこの均
衡を破った。11Mラインからのロングシュートが決まり、会場が沸いた。

ここで前半終了。
前半のシュート率はMISTRALが10本中2本で20%。WISTERIAは11本中4本で38%。
ここからはゴーリーのセーブ率の良さが伺える。スコアは4対2のWISTERIAリード。

両チームともこのハーフタイムでの修正に余念がない。


 
 MISTRALサイドでは、2人の選手が入念なアップを開始し、
 後半の巻き返しにかける意気込みが感じられる。

 一方、WISTERIAサイドは、時間ぎりぎりまで長い円陣が
 組まれた。
 こめる想いの強さが感じられた。








後半開始25秒、MISTRALの#17 AT 長岡良江選手がトップからシュートを決める。
後半が始まった直後の電光石火のシュートだった。
流れはまだMISTRALにあるのか、とても大きな意味を持つ一点だった。


 その1分後には同じくMISTRALの#18 MF 上林理沙選手が
 体勢を崩しながらも同点となるシュートを決めた。
 とても勢いのあるシュートで、それはシュートを撃った後に一
 回転してしまうほどのものだった。
 勝つという執念から生まれたシュートのように見えた。

 後半が始まったばかりであったが、試合は振り出しに戻った。
 インターセプト、パスミスなどから何度もターンオーバーが繰り
 返され、その度に観客から歓声が起こった。
 1対1まで持ち込まれ、DFをかわす場面もあったのだが、シュ
 ートを撃つも、ゴーリーのナイスセーブが連続した。




両者がどうしても欲しかった次の1点をものにしたのは、WISTERIAの#9川辺選手、キャプテン自らだった。
ここでスコアは5対4でWISTERIAの一点リード。彼女は土壇場での勝負に強い選手で、サドンデスとなった
本大会第1回戦の日本体育大学戦の時にも、勝負を分ける最後の1点を決めた。

3分後にはWISTERIA #1 岩瀬多三恵がMISTRALにとって苦しい追加点を決める。
しかし、MISTRALのAT陣も黙ってはいない。
その3分後にMISTRAL #41 鈴木直子選手が左シュートを、その2分後にもMISTRAL #12の上井華奈選手が
トップからものすごいスピードにのってDFをかわし、強烈なシュートを決め、再び6対6の同点に。

両者一歩も引かず、WISTERIAは#73の大井選手が、MISTRALは直前にコートインした#6 村上選手が両者
共に、自身2得点目となるシュートを決めた。
その度白熱した観客から歓声があがり、競技場が興奮の渦に巻き込まれた。





残り1分30秒の段階で7対7の同点。
本日2得点を決めているWISTERIAの#39 小林選手がボールを持ち、期待が高まる、もう1点決めて
くれるのか、それとも最後を決めるのはやはりキャプテンなのか。

残り30秒となったところで、WISTERIAの先ほどシュートを決めたばかりの#73 大井選手が渾身のシ
ュートを撃った。枠内ぎりぎりに決まったかのように見えたが、球がはねかえりプレイが続行。
場内が騒然とした。

審判の笛がなり、少し間をおいてシュートが決まったと時のジェスチャーと長めの2度のホイッスル。
ここで試合の残り時間が18秒であるということが場内アナウンスによって告げられた。


MISTRALは最後まで粘り強さを見せたが、ターンオーバーからWISTERIAがゴール裏までボールを運
んだところで、今度は3度のホイッスル。
これにより試合は終了し、8対7で、WISTERIAの日本一が決まった。WISTERIAが王者に返り咲いた瞬
間だった。


 
 試合を終えた選手たちは互いの健闘を讃えあった。

 WISTERIAの選手たちは抱き合い、キャプテンらを胴
 上げし、喜びを抑えきれない様子であった。









MISTRALの選手たちは、バックスタンドの観客に挨拶に行き、少し肩を落として戻ってきた。
きっとこの悔しさを糧に、いつかMISTRALの優勝を私たちに見せてくれるだろう。


最後に、WISTERIAのキャプテン、川辺選手がインタビューに答えた。
「今日の試合の出来は?」と聞かれ「2000点満点」だと笑顔で答え、チームの強さの秘訣には
「信頼とチームワーク」を挙げた。

試合を振り返ると、最後までどちらが勝つのかわからない、とても手に汗握るドラマのような展開であった。
日本一を決める、女子今シーズン最後の試合にふさわしい白熱した試合だった。

観客としては、素早いスティックワークに鳥肌がたったり、鋭いシュートに熱くなったりと大忙しであった。
すごい試合を目の前でみせつけられ、それを観ていた多くのラクロスプレイヤーが、「今すぐにでもラクロス
がしたい!」と思ったことだろう。

WISTERIA、MISTRALが来シーズンどのようなプレイで魅せてくれるのかが今からとても楽しみである。








                          
                              Text:日本学生ラクロス連盟東日本支部
                           広報委員会メディア班・丸山 雅代(東洋英和女子大学)
                        Photo:日本ラクロス協会広報部「.Relax」編集部・小城崇史
             





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